当サイトと運営者について

当サイトについて

当サイトは、プライバシー (privacy), パーソナル・データ (personal data), 個人情報保護法制 (protection, legislation), それからネットワーク中立性 (net neutrality) をテーマにした、運営者の覚書と論説を掲載しています。主に他のサイトで報道されている事柄やブログ記事、あるいは公的機関の発表内容を取り上げますが、特に海外の報道やブログ記事の翻訳、そしてそれらへのコメントに比重を置いています。なお、僕が1年ほど identifiable.info という個人識別情報(PII: personally identifiable information)や情報セキュリティのサイトを運営していたことをご存知の方は、当サイトのテーマと混同しないようご注意ください。当サイトではパスワード認証については扱っていません。情報セキュリティに関連する他の話題については、identifiable.info で掲載していた全ての記事を MarkupDancing に再掲載していますので、そちらをご覧ください。

翻訳とコメントに比重を置いている理由として、Twitter などでは既に海外の報道記事のヘッドラインていどを即座に翻訳して好評を博している方々はたくさんいるわけですが(その大半は営業的なパフォーマンスも兼ねているので、黙っていても勝手にやるでしょう。もちろん、それが不純でいけないなどと言っているわけではありません)、そこから先へ自分なりの論説をコメントとして加えたり、関連のある情報を考え合わせるとなると、そのようなリソースを提供するサイトや人物は、少なくとも日本では急激に少なくなります。いわゆる「メディア」と称するサイトで大学生や主婦に書かせているような類の井戸端会議に近い話題はたくさんありますが、そんなものをどれほど書いて読んでも足しにならないことは歴史が証明しています。そんなものは「啓蒙」や「啓発」の名に値せず、そのような「情報」をどれほど報道したり公表したり個人のブログにリンク集としてまとめても、社会科学的なスケールでは誤差と言っていいくらいの影響しか未来の判断や行動に与えないのです。(なぜなら、そのような「情報」の恣意的な羅列や感情的な寸評などというものは、検索エンジンの性能が改善されたら不要になるていどの価値しかないからです。)

もちろん、ネットの話題に詳しい方であれば、高木浩光さんや小島肇さんを始めとして、セキュリティやプライバシーに関連する情報を数多く掲載している方々がいるのはご承知かと思いますが、それ以外には? となると、いわゆるネット・セレブを除く法学者や情報科学者や弁護士やセキュリティ業界の人々は、どれほど個人として発言するとは言っても、やはり所属団体に迷惑がかかる可能性を考えて、積極的には自分自身の論評を公にしないものであり、これは仕方がないことです。かといって、日本にまともな privacy advocates(プライバシー保護推進組織)や通信ネットワークに関連して政策を提言するような(「鈴」や「紐」がついていない)団体があるかと言えば、少し検索するだけでもないことは明らかですし、せいぜいプライバシーマークを3か月で取得できるなどと宣伝しているイカサマ・コンサルティング会社のブログが見つかるくらいが関の山です。こういう状況をみると、公的な立場に縛られにくいアマチュアが率先して情報を発信することが、プライバシーやパーソナル・データについて情報を広めるために有効かもしれません。

もちろん The Privacy Advocates: Resisting the Spread of Surveillance (Colin J. Bennett, 2008) に CPSR (Computer Professionals for the Social Responcibility) が紹介されていて、日本のブランチもあるのは知っています。しかし、サイトでは殆ど活動の実態が分からず、国内で話題になった事案で活動した記録があるていどでは、サイトを見ている方々に紹介する理由がありません。Winny の件はともかくとして、それ以外の事案については、メンバーの大半が英語を自由に読めるであろうと推測できる状況では、アメリカの CPSR に追随しているだけとしか思えませんし、そもそも更新情報では10年前に活動が停止しているように見えます。

サイト名については、いま住んでいる大阪にちなんで “Osaka” Observatory(大阪観測所) と命名してドメインを取得していますが、大阪どころか日本にずっと住む保証はありません。たぶん、どこかへ引っ越してもドメイン名なんて変更する必要は無いと思います。そもそもサーバや DNS だって大阪にないわけですし、ウェブで実際の所在地をあれこれ言ったところで、それこそプライバシーの問題でしかありません。

当サイトでは翻訳とコメントに比重を置くと言いましたが、そのリソースは原則として公開サイトです。いわゆる “paywall” のサイトは、仮に僕が利用料金を払っていてアクセスできるとしても(逆に、みなさんが利用料金を払っていてアクセスできるとしても)他方がアクセスして内容を簡単に確かめられないのでは、リンクする意味がありません。簡単に言えば、お金持ちは自分の甲斐性で情報を自由に集めてもらってもいいわけですが、誰でも同じお金を払っていくらでも有料のページを見ているという前提で議論するのは、単なる世間知らずの子供でしかありません。金持ちだろうと凡人だろうと社会問題を語って悪いわけはありませんが、子供並みの見識や知性の人間に社会問題を語る資格などありません。

コメントの方針については、まず大きなものが二つあるので、最初に書いておきます。

第一に、「あれか、これか」式の単純な思考を排除し、ものごとをたやすく過大評価しないことです。当サイトは一部の privacy advocates や人権団体のような、はっきり言ってエキセントリックな主張や活動を志向してはいません。もちろん、人権侵害や自分たち自身の生命なり資産に大きく重大な被害が及ぶと分かった場合には、法律で保障された範囲の権利を有する国民として、それなりの対処はすると思います。更に、場合によっては家族や自分自身を守るために、それを越える「対応」をさせていただくかもしれませんが、そんなことを「したい」とは思っていません。とは言え、かつての某国も欧米からの自衛を訴えて侵略行為を繰り返してしまったわけなので、無用な被害者意識や、自衛を盾にするマッチョ志向は、厳格に避けなくてはなりません。そのために必要なことは、「あれか、これか」や「敵か、味方か」という単純で安易で感情的な受け止め方や思考や判断をせずに、一定の手順を追って自分たちの理解や認識や結論を検証することが望まれます。僕がそれを常に適正にやっていると言える保証は全くありませんが、当サイトは Twitter で噴き上がっている人々の殴り書きや street fight とは違うというくらいの自負は持っていたいと思います。

しかし他方で、僕は安直な相対主義も信じていません。したがって、第二に、「あれも、これも」式の単純な思考を排除し、ものごとをたやすく相対化して過小評価しないことです。確かに、どのようなことがらについても、その場や状況など色々な事情に応じて、簡単に是非を決められないかもしれません。同じ結果であろうと、それを引き起こした人の動機に応じて、或ることは非難され、或ることは賞賛されるかもしれません。しかし、だからといって何でもかんでもそうだと決め付けることも一つの短絡でしかなく、とりわけ人権や資産保護にかかわる事案においては判断の遅れが重大な被害をもたらす可能性があります。一定の条件によって思考を形式化し単純にすることも、人類の文化における知恵の一つと言えます。あらゆることがらを野放図に「人生、いろいろ」などと言って放置しても一種の芸風として許されるのは、文学者・歴史学者・社会学者など一部の限られた人々だけです(もちろん、何らかの保険として、そのような活動も認められなくてはなりません)。

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運営者について

河本孝之(Takayuki Kawamoto)

大阪市北区のインターネット・サービス企業で、情報セキュリティマネジメントの実務責任者をしています。社内での職名は「情報セキュリティ事務局の責任者」ですが、対外的な肩書は Chief Privacy Officer(個人情報保護管理者)です。情報セキュリティマネジメント(所属企業はISMSの認証を受けています)と個人情報保護マネジメント(所属企業はプライバシーマークを認定されています)を担当し、他にも社内情報システムの運用、ネットワーク管理、受託案件のサーバ構築とシステム開発、ならびに社内の IT とコンピュータ全般のヘルプデスク、名刺・会社案内等のビジュアル・デザインを兼任しています。

神戸大学大学院博士課程、文化学研究科、文化原理論科学基礎論専修中退(科学哲学、論理学)。関西大学大学院博士課程前期課程、文学研究科、哲学及哲学史研究第一講座修了。修士(関西大学、哲学)。幾つかのウェブ制作会社等を経て2006年に現在の所属企業へ入社。システムアーキテクト、システム部長、取締役部長を経て、2008年から現職(取締役は一年で退任)。日本科学哲学会会員。日本データベース学会会員。IxDA (Interaction Design Association) メンバー。Zend Certified Engineer (2006)。クラシック音楽担当の雑誌編集者(ライター兼任)や、パン工場で製パン係(食パンの包装機器オペレーションと仕訳)の経験あり。

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