⸻  Privacy and Personal Data  ⸻

マーケティング担当者にとっての「満足」とは

2018-12-25 12:26:47

Salesforceの「State of Marketing」(マーケティングの現状)レポート第5版によると、人工知能(AI)を利用して顧客とのつながりを深めるマーケターが増えているという。ただし、パーソナライゼーションツールにおけるプライバシーとの兼ね合いを調整する機能に満足しているマーケターは多くないという。

AIを利用するマーケター増加、プライバシーとパーソナライズのバランスに意識も

僕はマーケティングという学術(かどうかすら怪しいと思うが)分野から企業のマーケティング実務に至るまで、本当に基本的な発想や指針としてエンドユーザのパーソナル・データなりプライバシーを適法に保護するという発想を、それこそ privacy by design として据えているのかどうか疑問がある。こう言っては気の毒だが、営業やマーケティングや企画広告といった部門の人々には、発想・推論・判断そのものに「潜在的なプライバシー侵害」が無自覚に含まれていると思っている。なぜなら、ビジネスは経営から営業・販売に至るまで、競合や行政だけではなく自社の他部署やエンドユーザなど、いわゆるステークホルダーの事情なんて考慮しつつバランスをとっていたら、成功したり勝つことなどできないからだ。よく言われるように、成功した政治家や企業経営者というものは何かしら「独特の気質」があり、法律や人権など屁とも思わないような人間でなければ、大胆な決断など下せないという一面はあると思う。そして、それゆえに彼らを牽制する必要がある。成功すればなんでもいいわけではないからだ。

そういうことで、「パーソナライゼーションツールにおけるプライバシーとの兼ね合いを調整する機能に満足しているマーケターは多くない」という事実が、マーケターにとってはともかく、果たして僕らエンドユーザの人権にとっても悪い事なのかどうかは自明ではない。なぜなら、記事の中では「2年前よりもパーソナライゼーションとプライバシーの兼ね合いを意識しているマーケティングチームの割合は51%にのぼる」と書かれており、それはつまり半分のマーケティング担当者は消費者のプライバシーを屁とも思っていないか無知であることを示していて、これら51%に登るマーケターですら2年前よりも少しは「意識している」という、何を言いたいのか分からない状況でしかないからだ。つまり、マーケターの多くは、自分たちが何をすれば消費者の怒りを買わずにパーソナル・データを集められるのか分かっていないからこそ、こういう「人工知能」とラベルを貼ってあるだけの胡散臭いツールに頼るしかないのだ。

消費者の怒りを買わずにパーソナル・データを集める方法は、単純だ。取得する情報がこれだけあると、最初に本人へ知らせて同意してもらうだけである。マーケティング担当者というのは、このオプト・インすら、面倒臭いとか、離脱率がどうと言っては無視するからこそ、消費者の怒りを買うのだ。つまり、もっともよい方法は、「法律に従え」というだけのことなのである。

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